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株鳥風月

Author:株鳥風月
2003年より株式投資を始める。
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中原みすず『初恋』を読む。

この小説を元にした映画『初恋』(監督:塙幸成、出演:宮あおい/小出恵介)の評についてはすでに16日記事に書いたとおり。

今度はこの原作である小説を読んでみた。

この小説を読みながら「若書き」という言葉を思い出した。
若書きというのは、一般的には若い人が書いた、よくいえば“若さ”、悪くいえば稚拙さの残る文章を指すが、面白いのは、この若書きは、書き手の年齢に限らず、ものを書き始めてからの年数が短い人の文章に表れるある種の“若さ”を指していう。

ただ後者の場合に使われる場合の若書きは稚拙さよりも、概ね歓迎の意を持って迎えられる感があるような気がするけれど。


中原みすずは小説に自分のプロフィールを載せていないけれど、私小説風の内容やあとがきなどから推測できるように、あの事件の渦中を生きた人とすれば、決して若いとはいえない年齢の人と思うが、それでも、この小説を読みながら“若書き”という言葉を想起してしまったのは、小説の言葉が言葉自身として立っていないと感じられるからだが、ただだからといって、そこから「稚拙だ」といった感想を己に禁ずるようにして読み進めようとしたのは、いったいどういう力が働いていたのだろうかと自分自身が訝しく感じられた。

まずは映画とのからみでいえば、原作である小説の方には映画に描かれていないことも書かれているし、映画は故意にカットしたり修正したりといった部分を知ることもできたので、その分は読んで損はない。

逆に小説にはなくて、映画だけにあるというものもある。
その詳細は省くが一つだけ、もっとも重要なところを挙げれば(というのも、この部分は私の映画評の中でもっともこの映画の優れているところだと紹介した部分だからだ)、現金輸送車の強奪後、主犯格の男と待ち合わせ場所で落ち合うシーンの二人の“触れ合い”のことである。

これについては映画評に書いたとおりだが、この点において映画は原作である小説を超えた表現となったといえるのではないか。

映画は小説の中から自分の気に入った部分だけを取り出し、張り合わせた、いわばデクパージュであり、だからその点においてもすでに小説とは異なる価値を持った一つの世界をつくっている。

小説の方は作者の生い立ち、家族という<血>の系列が横軸として設定され、もう一方にはこの忌まわしい家族を断ち切るものとしての3億円事件、そしてそこから生じる「初恋」が縦軸として設定されることで“面”への展開を図った感がある。

これに対して映画の方は、横軸を可能な限り縮小し、付随する枝葉を捨象することで、徹底的に“線”としての展開を図っているようだ。

そしてこの線形が物語の純度を高めている。

小説を読むと映画では描かれなかったいくつかの細部が網の目のようにつながっており、それが小説の面白さをつくっているが、映画の方はあえて、その面白いところをカットすることで、監督の描きたいものだけに集中した。
この集中度が映画に勝利をもたらしたのではないかと思う。


映画『ダヴィンチ・コード』が公開されてから、すでにその前に少しブームをつくっていた原作本が再び本屋の店頭に大々的に並べらており、『ユダの福音書』といった関連本も含めてブームになっている。

もしかすると『初恋』も原作→映画化で終わるのではなく、これをきっかけにもう一度、今度は事実としての3億円事件に光が当てられ、そちらに関心が出てくるかもしれない。
そして、今度は映画『初恋』の原作本としてではなく、今度は「府中強奪3億円事件」についてもっとも注目すべき本として再び光が当てられることを期待したい。


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投資法について思うこと

日経平均は今のところ、コメント欄の@@@さんも私も予想可能な範囲で進んでいますね。

ところでこのブログで毎日の動きを追うことにそれほど関心があるわけではありません。

わたしが今、すごく関心を持っているのは、これは仮題ですが「株式投資理原論」を書くということです。

最近、カフェで本を読んでいても(今日は中原みすずの『初恋』買って読んでました)、電車の中で新聞を読んでいても、家に帰ってGyaOdeでアニメ版『ガラスの仮面』を見ていても、そんなことを考えてしまいます。
断片的にはいくつか思うことがあるのですが、一番大事な実践編がまるでできていない…。
その解はいくつかのものをどう<つなぐ>かにかかっているということは分かっているのだけれど…。

とまあ、こんなことを考えているうちに、何も完成編だけが意味を持っているわけではなく、その考えのプロセスそのものにも少しは意味があるのではないかと思うようになりました。

今日も本屋で株本関係の棚をずっと見て回りましたが、雑誌やムック本で多いのが「プロが選ぶ今すぐ上がる株100選」みたいなもの。

私の隣にいた二人の30~40歳台のサラリーマン氏は二人ともそんな本を見ていました。

私は心の中で「また、二人がカネを株式相場という墓場に捨てにいく…」と思っていました。

というのも、こんな安易なやり方で儲けられるなら誰だって儲けられますから。


以前、株投資セミナーに行ったことがありましたが、前半の株式相場をめぐる国際・国内環境の話のところでは参加者は聞いているのか、寝ているのか分からないくらい静かでしたが、最後の講師が推奨銘柄をいくつか挙げ始めたら、みんな筆記用具を出して必死にメモしまくり、会場はいきなり興奮の坩堝(るつぼ)と化してました(笑

あるところでこうした講師の人が書いていましたが、ある時、昼間にセミナーを開き、具体的な銘柄を挙げ始めたところ、もう皆さん、最後まで聞いてなくて、ケータイで発注したり、廊下に出て電話とか、大変な騒ぎになったそうです。

この時は、もしかしてこの参加者の人たちは儲けたかもしれません。
しかし偶然が続くことはないのだから、この人たちはたぶん今頃は株を止めているか、樹海に入っているかどちからかのような気がします。


これはもういうまでもないことだと思うのですが、株式投資でもっとも重要なことは投資法を確立するです。

投資法とは、恒常的にリターンを生み出す投資の方法ということです。

これには一般的なものはないでしょう。デイ・トレードとバリュー投資法とがまったく異なるように。

この投資法については罫線、酒田五法、移動平均線、サイコロ、トレンド、ボリンジャー、RSIなど古今東西、さまざまなものが考案されましたが、この方法をやれば確実にリターンが得られるというものはない(よう)です。

私が考えているのは、これらに一つ付け足そうということではなく、主にファンダメンタル、テクニカルという投資理論を体系づけることです。

そんなアカデミックなことに何の意味があるのか、問題は儲けられるかどうかだ、という意見もあるでしょうが、当然、そのために私も考えています。

まあ、要するにこれから、このブログに考えのプロセス的な意味で、投資法に関することを少しづつ書いていこうかなと思っているという、これがそのプロローグです。



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(続)東京市場は底打ちしたのか?

昨日はマクロから今の市場を見たので、今日はもう少し距離を縮めファンダメンタル、テクニカルの面から見てみます。

が、その前に一つ、昨日の補足記事を。
昨日の記事で福井総裁の村上ファンド関与問題は「外国人」あまり影響を与えることはなさそうだとの市場の趨勢を伝えるとともに、ライブドア・ショックのようにゆり戻し的に再び株価下落の要因になり得る可能性があると書きましたが、どうやら海外メディアはこの問題を厳しく見ているようです。

参考記事
「福井総裁1000万拠出、海外メディアも批判的」

「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「フィナンシャル・タイムズ」、「ニューヨーク・タイムズ」などが共通して福井総裁と日銀の不手際を批判しています。
これらのどれも欧米の代表的なメディアなので、「外国人」投資家に今後、影響を与える可能性がまだあると考えていいと思います。


とうことで、今日の本題に入ります。

(1)需給関係
17日の日経新聞は日経平均続伸の理由として「需給不安が後退」という見出しで記事を掲載しています。
それによれば、外国証券13社経由の売買注文が16日、市場推計で2160万株の買い越しとなったとしています。

では、この数字ははたして東京市場にどの程度の影響を与えるものなのかを見てみます。

外国人の売買高は4月第1週の5785万株をピークにして、その後、下げ続けていますが、6月第1週には一時3000万株の買い越しに回っていますが、翌週には再びマイナス3800万株の 売り越しに転じているので、16日の週に2160万株の買い越しがあったとしても、そのことが東京市場に大きな影響をもたらすとはいえないのではないでしょうか。

また同新聞は「個人の処分 売りもほぼ出尽くしたとの見方が多い。」、「『追証は6月8日に峠を越えた』(立花証券)」との言葉も載せ、信用買い水準が6月9日までの2週間で約7500億円減ったとしています。

確かに東京市場が反転するかどうかを知ろうとすれば、信用買い水準は一つの指標となります。
買い残が多ければ、株価が少し上昇しても戻り売りを浴びて株価は頭を打たれる展開になりやすいでしょう。

信用残がそのように変化しているのかをグラフにして見てみましょう。
以下は貸借倍率を中心に買い残と日経平均とを描いたグラフです。
貸借倍率というのは買い残を 売り残で割った数値です。
株価が上昇するためには買い残が少ない方がいい、あるいは貸借倍率が小さいほど良いということはいうまでもありませんね。
信用残

グラフは6月13日までのデータで作っているので、今はもっと状況は進んでいると思いますが、まず買い残を見ると、6月に入ってから急速に減っていることが分かります。
これは想像の域を出ませんが、おそらく昨年夏のレベルくらいまで落ちているのではないでしょうか。
昨年夏というのは東京市場がそこから約8ヶ月間に渡って力強い上昇トレンドを描いた、その出発点だったことを想起しましょう。(図のピンクの線参照)

では、もう一つの数値、貸借倍率はどうなっているか?
こちらも6月以降、急速に下げていることが分かります。先週分まで含めて予想すると昨年11月と同程度あたりまで落ちたかもしれません。
ということで、こちらはまだ下げ切ったとはいえないかもしれません。
昨年夏には貸借外率は2.5を割っているのですから、まだまだ倍率が落ちる可能性がないとはいえません。

では、買い残と貸借倍率とでは、どう違うのでしょうか。
例えば、買い残がもし5000万株あるといえば、ずいぶん買われているなということになりますが、もし同時に売り残が5000万株あるとすれば貸借倍率は1(=5000÷5000)、つまり 売り・買いともに同数なので真の買いは残はゼロと考えることができ、重しがないといえます。

つまり、今の状況は買い残だけに注目すれば、かなり残が減っているが、 売り残と合わせて見れば、まだ整理は進む余地があり、楽観視はできないといえるのではないでしょうか。


(2)トレンドはどうなっているか?

下は最近の3ヶ月チャートです。
日経トレンド

投資家たちの間では「反転」、「底打ち」と騒がれていますが、今、確認しておかなければならないことは、先週金曜日までの上昇も含めて、日足レベルでのトレンドは未だ下降トレンドにあるということです。

先週、水曜、金曜の下落トレンドの中の大陽線は反転の可能性も持つ指標なので、つい買い出動したくなりますが、明日以降にでも図に引いた上値抵抗線を上抜いて、上昇トレンドを確認してからでも遅くはないでしょう。
でもリスクを負うことで大きなリターンを狙おうという人はこの限りではありませんが。

でも来週は実際のところ、どうなるのでしょうか?
可能性は下の3つです。

A.上値抵抗線を上抜き、上昇トレンドに転じる。
B.上値抵抗線と下値抵抗線との間の下落トレンド内にとどまる。
C.下値抵抗線を下抜き、新たな下落トレンドを形成する。

私は予想屋ではないので、ここから先は皆さんの出番です。
というか、ここまで読んでいる方なら、私と同じ予想をするかもしれませんが。
昨日、今日の二日間のヒントを使って推理してみてください。

自分の力を試そうとするならコメント欄に予想を書いてみてはどうでしょうか?
自分の心の中で思っているより、人の目に触れさせることを書く場合には緊張もするし、一生懸命考えるのでいい勉強になると思いいますよ。


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東京市場は底打ちしたのか?

日経平均は3日連続で上昇し、巷では日経平均はついに底打ちしたとの説も出ているようなので、ここらへんでそのあたりを検証してみたい思います。

まずは市場の見方を一つ紹介しておきます。

「株価底入れ確認、売られ過ぎ後の修正高相場に」

6月15日の記事で私はこの間の東京市場の低迷を規定する要因として(1)継続する米金利上昇、(2)マネーの株から債券へのシフト、(3)下落がさらなる下落を呼ぶ構造、(4)村上事件、福井総裁関与などによる日本市場への信頼性喪失を挙げました。

これらに即して、この間どのような変化があったのかを以下に見てみます。

(1)金利上昇について
この間の株価急騰の最大の要因となったのはバーナンキ議長のシカゴでの講演で、インフレ期待が「いくらか後退」したと述べたことのようです。
このため6月にFF金利の上昇があったとしても、それはすでに織り込み済みであり、さらにはその後についてはそろそろ打ち止めでまでないかとの観測が出ています。
こうした安心感から、これまで下げすぎていたと認識された株が買われたというのがここ数日の動きだったといっていいでしょう。

ただ、このバーナンキ発言はどこまで信用していいのかとなると、かなり怪しいと見ていいのではないでしょうか。
これまでインフレ懸念や景気減速などの発言はいったいそこへ消えてしまったのでしょうか。

これまで失言が市場に不安を与え、株価を必要以上に下げてしまったという反省から、これまでの発言を修正したいというメッセージを私は受け取りますが、ただ発言をどのように修正できても、インフレ傾向や景気減速といった経済的現実はそう簡単には修正できないことを相場関係者はもう少し冷静に見ておいてもいのではないでしょうか。

もう少し現実的な話をすれば、今回のバーナンキ発言が確かなものならば、当面はたとえば5.25-5.50あたりで止まるでしょう。
しかし、インフレ懸念が深刻化すれば、再び金利上げが視野に入ってくる可能性が出てきます。
そういう意味では今回の金利上昇への不安解消、あるいは打ち止め観測は「当面」という期間限定の願望のような感じがします。

今、「願望」と書いたのは、株式市場がテクニカル的にあまりに下げすぎていたため、一度はここらあたりで反発があってもいいのではないだろうか、という市場関係者、投資家の強い期待のことを指しています。

(2)株から債券への資金シフトについて
アメリカでも日本でもここ2、3日、株価の上昇にともなって長期債券価格は下落しています。債券から再び株への資金還流が起きているのかもしれません。
ただ、これは超短期的な動きにすぎず、この動きが一つのトレンドとなるのかどうかについてはもう少し見極める必要がありそうです。

(3)下落スパイラルについて

株価というものは長期的にはマクロやファンダメンタルによって動きますが、短期的な動きはテクニカルによって動くことが多いですが、ではそのテクニカルな動きとは何かというと、株価の動きを振り子の動きに例えれば、上昇するものはさらに上昇させ、落ちるものはさらに落ちさせる力のようなものです。
この力が働いている間は、もしそろそろファンダメンタル的には適正株価になったと考えられてたとしても、なかなか下げ止まることができません。

これを止め、反発させるのは相場内部の情報によってではなく、だいたいは相場外部(マクロ)からの情報によってです。
そして今回はバーナンキ発言だったというわけです。

ただ、ここで確認しておきたいことは、今回の株価上昇はマクロのおいしいところをうまく取り込むかたちで相場が上昇したということではあるけれど、マクロそのものは、例えばインフレ懸念や「双子の赤字」は抜本的に解消したというわけではないことです。

しかし、ともあれ下げすぎていた株価をいったんは底打ちさせたと見ていいのかのしれません。
もちろん、このことはこれから上昇トレンドに転じるということを即意味しているわけではありませんが。

(4)村上事件、福井総裁関与などによる日本市場への信頼性について

村上事件については相場は、ほぼ織り込み済み、福井総裁関与については「外国人」への影響はあまりなかったようだとしています。
ちょっと悲観的かもしれませんが、これまでの経験でいうと、こうした悪材料というのは、まず事件の直後に急落や暴落などの「ショック」があり、それが織り込み済みになってそろそろ忘れさられようとする時、もっと大きな急落・下落がくるというパターンがあるのでまだ注意を怠らない必要があると思います。

(ライブドア・ショックの場合、1月16日の堀江逮捕、翌17日から暴落が始まり、23日まで下げ続けますが、そこから反転し、2月7日まで上昇。しかし、今度はそこから2月20日まで再び下げる続けた)


以上のことから、今回の急騰について、以下のようにまとめられるかと思います。

A.マクロ的な要素、とりわけ米金利の行方はまだ流動的。さらなる上昇、打ち止め、どちらも可能性があり、見極める状況にはない。

B.今回の急騰はマクロを契機としたものだったが、実質的にはテクニカルな反発と見ることができる。
したがって上昇トレンドに転じるなどの力を伴った上昇となるかどうかは疑問が残る。


明日は、このB.についてもう少し詳しく見たいと思っています。


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“驚きに満ちた映画”『初恋』

この映画を“驚きに満ちた映画”とまずはつぶやいてみる。

なぜなら、もう30年以上前の事件でありながら、その事件の手際良さとそれに反比例するようなあっけなさ、そして今も「未解決」であること、そして事件後の犯人の完璧な沈黙とにおいて、未だにどの事件との比較も許さぬ孤高ぶりを誇っていた、あの府中3億円強奪事件の謎を、この主人公の女子高生はいきなり「事件の実行犯は私かもしれない」といともあっさりと告白して物語は始まるのだから。

さらに驚くべきなのは、映画の原作となった同名の小説『初恋』の著者、中原みすずは物語を一人称で書くことによって彼女自身が物語の主人公であること、つまり3億円事件の実行犯であることを隠そうとしないことである。

実際、主人公たちの仲間の一人で、予備校生として登場し、エピローグで、後に芥川賞作家になったと紹介される青年は中上健次に違いないと分かるし、、また彼の対談集などを読んだことのある読者なら、映画の主たる舞台となる「B」という名のジャズ喫茶がその本の中に出てきたものだと思い出すだろう。

映画はこうして、この物語が限りなく“真実”に近いものであろうことを、もったいぶることも、秘密めかすこともなく淡々と示していく。

中上健次が事件のことをどこまでを知っていたかどうかは今となっては確かめようもないけれど、彼が紀州を舞台とした「路地」ものを終えて、病を得てもう時間があまりなくなってからどうして新宿を舞台にした物語などにこだわったのかを、この映画から想像してみることは少し愉しませてくれる。

健次の娘で今は作家となった中上紀がこの映画にコメントを寄せていることが、何かこの映画により一層の色香のようなものを添えているように感じられるのは、今は健次も登場人物の多くも時間の彼方へ消え去った中で、あの予備校生がやがてもうけた子が時を越えて、今、目の前にまるで“突如”といった趣で現われ、断絶されていたと思われていた時間が実は細々ではあるにしても連続しているということを再確認させてくれたからだろうか。


ところで、この映画が驚きに満ちているのは何もそのドキュメンタリーなところだけにあるわけではない。
いや、むしろそれ以上に私はこの映画が、湛えている一種のみずみずしさこそを驚きに近い目で見ていた。

というのも映画的なるものはおそらく物語性と相性が悪いのであり、この強烈な力を放つ物語からよくあれだけの映画的な映画をつくることができたという驚きでもあった。

ブログを見ていたら、この物語についての評をたまたま見つけたのだが、その書き手によれば、主人公の少女がただの淡い恋心だけでこんなに大それた事件に加担するなんて信じられないようで、だから彼女と主犯各の学生との間にはそれ以上の何かがあったのだろうと暗に勘ぐっている風なのだ。

実際はどうだったのか知らないが、そんなことどうでもいいではないか、と私は思う。

この評を書いた人は、さらに恋を描き方が「浅い」とまでいっている。

あの3億円事件という大事件に加担する以上、それに見合った背後の何かや恋なら恋で、もっと深いものがなくてはならないはずだと思わせるのだろうか。
しかし、現実世界では人は何の「深さ」もなく、まったく取るに足らぬ理由で人を殺すこともできるし、何の「深さ」も持たずに、一瞬のクリック一つで数十億円を稼いでしまうこともできてしまう。

ある事実の裏側に物語を求める物語性こそが、小説や映画からもっとも遠いものであり、映画や小説を見損なうものであるように思う。


この映画で見過ごしてならないのは雨ではないかと私は思う。

雨は映画冒頭から降っている。
雨の音とその肌にまとわりつくような湿度がある雰囲気のようなものをつくりだしていることは確かだ。
しかし、それ以上に大事なのは雨が映画全編の細部を統御していることだ。そのことによって、この映画は非常にコンパクトで清潔感のあるものとなり得ている。

しかも雨は雰囲気といった柔らかいものとしてあるにとどまらず、物質としてその存在感を主張する。
それは、もちろん事件当日の雨のことをいっているのだが、ここでは映画をまだ観ていない人もいるので、詳細は省くが、この日の雨は文字通り事件の運命を変えてしまうかもしれないものとして(しかも2度にわたって)登場するのである。

もちろん雨はこうしてただ荒々しいものとしてだけあるわけではない。
事実、映画冒頭近くで、刑事が「最近の子は涙一つも見せない」と呟く中を警察署を出て、歩き始める主人公に降りかかる雨は、彼女が大人たちに決して見せない涙と分かちがたい繊細なものだったではないか。

この映画の繊細さはこうした雨の表情を正確に描くところに現われていたというべきだろうが、繊細な表情というなら、もう一つ忘れられないシーンを挙げるなら、それは強奪後、不安と緊張に押しつぶされそうな宮崎あおいが首謀者の男と待ち合わせ場所で落ち合うシーンだ。

男は車の中の宮崎あおいの頭に手を伸ばし、そっと触れる。
男と少女が初めて触れるシーンのこの慎ましさ。そして、この繊細さ。

彼女が待ち望んでいた男の手は雨を隔てて、雨の降らない車内の彼女の頭へと伸びてくる。

二つのものが触れると同時に雨によって隔てられている。
この雨は、その後の彼らの時間をも統御しているかのようだ。

そして一瞬間でありながら、永遠に引き伸ばされるような時間の中の彼女の微笑み。
このシーンによって映画はもう一段、高み昇ることができたと思う。

ここにおいて少女は「深い」ものとはまったく無縁な次元で、どうしてあの事件に加担したのかが何よりも強く語られている。

この映画が驚きに満ちた映画であるのは、まさしくこうしたことによってである。

さきほど「触れる」と書いた。
だが、それは触れることなのか?

触れるのではなく、むしろ重ねられるというにふさわしいこの行為は、たとえばその後に彼女の手が彼に手に重ねられ、あるいは彼女の顔が彼女自身の手の上に重ねられるというように、いくつか印象的なシーンとなって現われるが、もしこの映画の主題が消え行く時間への悼(いた)みにあるとすれば、重ねられる行為は、まさしくその悼みそのものなのかもしれない。



【後記】
映画を観終えて外に出ると雨が降っていた。
もちろん、この雨はただの雨にすぎないけれど、一瞬、この雨はこの映画の時空につながっているのではないかという錯覚に陥った。

この映画で『ナナ』の宮崎あおいではなく、『ユリイカ』の宮崎あおいが戻ってきたことが嬉しく思えた。


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この株式市場ー反転とさらなる低迷の可能性について

世界同時株安と各国市場のグローバル化について(7)

(今日は少し時事風に株安状況にアプローチしてみます…)

(1)反転の鍵を握る米金利の行方は?

世界同時株安の直接的な主因となったが金利上昇だっとすれば、株価が下落から回復するのも、この金利が鍵を握っていると考えるのは当たり前のことでしょう。

ところで短期金利を別とすれば、このブログで金利上昇というとき、二つの金利が対象となっています。
一つは政府による誘導金利としてのFF(フェデラル・ファンド)金利(レートともいう)。
そして、もう一つが10年もの国債の利回りのことで、一般的に長期金利といえばこのことです。

で、アメリカは昨年4月からFF金利を十数回に渡って上げてきて、この5月にはついに5%になったわけですが、そこまでは長期金利もFF金利に誘導されるかたちで上昇してきました。

そのあたりのことはシリーズ前回の「世界同時株安を決定づけたワシントンG7以降の世界へ」で見てきたとおりですが、金利は5月上旬に5.2%に到達する一歩手前で反落し、その後、5.0-5.2%間で推移していました。
それが数日前までの状況です。
下のグラフで今日までの状況を見てみます。
米国債

ここ数日はその5.0%のサポート・ラインをもさらに下抜けようとしています。

これはいったい何が起きているのでしょうか?

この金利の反落は日本ではどうなっているのかも見てみます。
日本国債

ここ日本でもやはり金利は下落していることが確認できます。(グラフは債券の価格を縦にとっているので米国のグラフと上下反対になります)

(2)この金利下落は株価上昇につながるだろうか?

金利の上昇が株安をもたらしたというなら、では、この間の金利下落は株価上昇につながる、あるいはつながらないでも株価が下げ止まる環境ができつつあると考えていいのでしょうか。


下のグラフはこの1年間の日経平均週足と出来高のチャートですが、出来高は依然として低い水準にあります。昨年9月頃から今年2月頃までを下回る出来高といってよいでしょう。
日経平均

つまり株式市場から流出した資金はまだ戻っていないことが分かります。

そして先ほど見た長期金利のチャートは下落(つまり債券価格は上昇)していたので、債券が買われていることを示しています。

この株式市場からの資金流出と債券市場の高騰とを合わせてみるならば、どうやら株式市場から流出したマネーが債券市場に流れていることが読み取れそうです。

つまり、金利が下落は債券が買われている結果なのでした。

とすれば、この金利下落はこの間の金利上昇のたんなる反転としての下落ではなく、資金のシフトとしての結果である以上、そのことからただちに株高がもたらされることはあまり期待できないでしょう。

ただ、こうした状況がもう少し進めば当然、株式市場へのゆり戻しがくるだろうとは思います。

(3)株式市場反転の契機とは?

今、日経平均225種の予想PERは17.45(6/13時点)です。この益回りに直すと5.7%です。
そして米長期金利は4.9%まで下げています。
為替取引にかかるリスク、手数料や株式投資のリスクを無視すれば、すでに株式に投資した方が有利な条件となっています。

「5.7%-4.9%」の差が大きくならばなるほど、株式市場の優位性が高まることはいうまでもないでしょう。

と、ここだけ見れば、期待も出てくるのですが、ここでは二つのことを厳しく見ておく必要があるかと思われます。


(4)さらなる株式市場低迷という可能性も

その一つは株式市場のリスクについてです。
新興国から先進国までを襲った、この間の暴落に近い下落で株式はリスクの大きい市場であることを投資家は必要以上に意識しています。まだ下げ止まったという安心感が出てこない限り、このリスク意識は株価をあるべき価値以下に押し下げるように働くだけでなく、PERそのものを低下させる可能性もなくもありません。
東京市場ではすでにその傾向が少し出ているかもしれません。

また先日、このブログ記事「世界同時株安とPERの関係」の中で「具体的には、それは①世界的動向、②世界が日本を見る目という二つの要素からなると思われます…」と書きましたが、その②に関わって、村上逮捕に続き、福井日銀総裁がその村上ファンドに関わっていたという問題までが現われ、日本市場の信頼性は揺らぎ、よりリスクの大きい市場と意識されていることでしょう。

そして第2には、米金利の上昇がさらに上昇する可能性がこの間、強まっていることがあります。
バーナンキFRB議長は、何度もインフレ懸念について警告を発するメッセージを出しています。
ここから(FF)金利のさらなる上昇が予想されます。

もし、そうなれば再び長期金利は上昇、株式市場にもう一段の下げというシナリオさえ考えられなくもありません。


ということで株価が上昇する転機を見出そうと思ってはいるのですが、どうもマイナス要因の方が大きいような気がします。

今日はここまでにしておきます。

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【後記】
今日の朝刊各紙は福井総裁の村上ファンドとの関わりを「13日、明らかになった」と驚いてみせていますが、「The New York Times」はすでに村上事件の直後には村上氏と福井総裁とも関係があったと確か、社説の中で書いていました。

米国の新聞の方が日本の新聞より日本の出来事を早く情報をつかんでいるとしたら、日本の新聞社はもうちょっとがんばって欲しいですね。

というか、日本の新聞各社はほんとうに「驚いた」のだろうか…。

この暴落相場でのテクニカル投資の無効性に関する緊急メモ

今日も平均株価は大きく下げましたが、テクニカル分析を使ってデイ・トレードやスイング・トレードをしている皆さんに緊急に示したいことがあります。

それは、要約すれば、

「変動期の相場はテクニカルでは対応できない」

ということです。

以下に簡単な例を示します。
トレンド

これは日経平均の3ヶ月チャートに過去数ヶ月間、もしその時々にトレンド・ラインを引いていたらどのようなラインを引いていたかを重ねて描いたものです。

ここで示したいことは、トレンドが数日間で変わってしまうということです。このようにトレンドがくるくる変わってしまっては、トレンドは信頼するに足らないツールと判断する他ないでしょう。

騰落レシオも前代未聞の数字を出しているようで、これもいつもと同じように反落のチャンスだと飛びつけば痛い目に会うでしょう。
その他のオシレータなども同様です。

最近、思っていることは、それは今回の暴落で初めて考えたことなのですが、相場というのはチャートで表せば無限に続く、切れ目の無い波のようなものに思えますが、実感としては、その波はいくつものブロックごとに区切られて並べられているように思えています。

一つひとつのブロック内での動きはある程度了解できるもので、だから、そこではテクニカルは有効なのですが、一つのブロックと次のブロックとは、ちょうど一つの島から島へと渡った旅人が急に言語が通じなくなってしまう<理解不能>な関係、つまり断絶されているようなのです。

次に一つの仮説を提示します。
といってもこの間の実感のようなものをスケッチ的に定式化したものにすぎません。

大事なのは仮説の提示ではなく、それを検証するだとすれば、ほとんど意味のないものかもしれませんが、今の暴落の中では実践的に少しでも投資家の被害を最小に抑える役割を果たせればと思い、以下に簡単に提起しておきます。


仮説1.
今、最初のブロックをA,次に続くブロックをBとすると、A内部でもB内部でもテクニカルは通用する。
しかしAとBは常にスムースにつながっているわけではなく、そこに“緩衝帯”が挟まるような場合、この過渡期をT期と呼ぶと、T内においてはテクニカルはほとんど無効であること多い。

仮説2.
AとBを断絶させる原因はファンダメンタル、より株式投資に沿った用語でいえばマクロにある。
戦争、地域紛争などの地政学的事件、社会的事件、国際・国内における経済的出来事、その他大きな政治・経済的変動をもたらす出来事等々。

その理由は「仮説3」で説明される。

仮説3.
テクニカルの前提を今、「パラダイム」と呼べば、パラダイムは一定の条件の下では均衡を保っている(パラダイムは重力や磁力のように内部の均衡を保つように働くだろう)がゆえにその内部ではテクニカルは有効である。
だから、変動率の小さな要因によってはパラダイムは変化しない。
よってテクニカルの有効性も崩れない。

しかしパラダイムも大きなマクロ変動によって崩れ得る。その場合、パラダイムの<ずれ>によって、テクニカルは使用不能となる。

仮説4.
過渡期Tを語り(記述し)えるのは、おそらくマクロ自身ではないだろうか。


以上、未整理のまま、出してしまったので、分かりづらいとは思いますが、大事な点は、今、このような時期はデイトレ、短期投資の方法としてのテクニカルは無効だということです。


【後記】
このように原稿を未整理のまま出すことを恥ずかしく思います。
が、私が文章を書くよりも相場の動きの方が早いようです。

いつか、もう少し分かりやすい表現で整理できればと思うのですが…。



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世界同時株安を決定づけたワシントンG7以降の世界へ

世界同時株安と各国市場のグローバル化について(6)

■「世界的不均衡」の是正時代へ

世界同時株安が騒がれるようになったのは5月以降でした。
しかし、これより早い時期からアイスランド、ニュージーランドなどの高金利諸国で株安状況が出ていたといわれています。(ただ私は確認できませんでしたが)

しかし、やはり世界同時株安を決定づけたのは4月21日のG7ではなかったでしょうか。

ITバブル崩壊以降、過剰流動性相場(金余り状況=超低金利時代)が終わり、世界はそのつけを払わなければならない段階に来たということは何度か書いていますが、このことが開始されたのは4月21日のG7だったかのしれません。

世界同時株安について書いてあるブログはたくさんありますが、なぜかこのことについて書いてある株ブログはほとんど見なかったので以下に少し紹介しておきます。

このワシントンG7は「グローバル・インバランス(世界的不均衡)」の是正を打ち出しています。

具体的には①日米欧の構造改革と②新興市場エコノミー、特に中国為替レートの柔軟性獲得や内需拡大をうたっていますが、端的にいえば、このG7こそが5年間に渡る「過剰流動性相場の終焉」を初めて世界的レベルで打ち出したものといえるかもしれません。(註)

【註】G7は声明文で、「多額の経常収支黒字を有する新興市場エコノミー、特に中国の為替レートの一層の柔軟性が、必要な調整が進むためには望ましい」とし、また世界不均衡を是正のために、日米欧が取り組むべき経済の構造改革、及び「アジアの新興国、『特に中国』は」内需の拡大や輸出主導型成長戦略への依存度の引き下げなどと同時に、「必要な為替相場の上昇を可能にするため、為替相場の柔軟性を高めることが重要である」と記述したメモを発表しています。


こうしてG7は先述したように新興国の株式市場を直撃し、次いで世界中の株式市場に大きな下落をもたらしましたが、株式以外では為替に大きな影響が現れました。

下のチャートはユーロに対するドルの3ヶ月チャートですが、4月21日のG7以降、急速にドル安(ユーロ高)が急速に進んだことが分かります。
ユーロドル


また下のグラフはドルに対する円のチャートですが、G7以降、急速に円高(ドル安)が進んだことが分かります。(上のユーロのグラフとはドルを反対にとっているのでグラフの傾斜は反対になっています)
円ドル


つまりG7以降、ドルは各国に対してドル安となっています。
こうした動きは市場がG7の声明からドル安誘導を読み取ったからでしょうが、これについては「いや、G7側の真意はそこにはなかった」という説もあり、真意は不明ですが、ワシントンG7の声明がそのように位置づけられてしまったのは今の世界状況の中ではしかたないとも見えます。

しかし、ここでは、世界同時株安の前にドル安が生じていたこと、そしてそれよりもっと以前から長期金利が上昇しており、ちょうどワシントンG7の頃に5%を超えてしまったこと(下図参照)を踏まえるならば、ここにいたって私たちは始めて世界同時株安が

<ワシントンG7→金利上昇・ドル安→世界同時株安>

という循環の中で行われたことを了解したのであり、であるからこそ今後も含めて米金利と為替の行方が株式相場を左右する鍵となるだろうことを知ったといえるのではないでしょうか。
米金利


■大きなジレンマを抱える米国

では、当のアメリカは金利と為替に対してどのような位置にあるのかを見るために、簡単な図をつくってみました。
自分用のメモなので、おかしい点はあるかもしれませんが、そこは許してください。

【米ドルの行方】

 株安       米債券高
  ↑        ↑
①ドル高(円安)←金利上昇←インフレ抑制
  ↓
 景気低迷


 景気上昇・株高
   ↑
②ドル安(円高)←金利打ち止め←過去最大の「双子の赤字」
   ↓      
 インフレ進行 


簡単な図ですが、ここからアメリカが抱えている問題とその困難さが見てとれます。

①インフレ抑制
昨年からの住宅高騰などのインフレ傾向が出ています。
5月以降はさまざまな経済指数が出るたびに、「インフレ傾向が強まっている」、「いや沈静化しているようだ」と判断が揺れ、これに加えてバーナンキFRB新議長の判断ミスなどもあり、方向が定まっていないように見えますが、いずれにしろインフレ懸念が完全に収まったとはいえない状況にあることは確かでしょう。

インフレを抑制するためには、さらなる金利上昇が求められます。しかし、金利が上昇すれば(高利回りの米国債を買おうと、外国から資金が流入し)ドル高となり、それは株安につながり、株安となれば企業の投資活動に消費の落ち込みなどによって景気後退につながる懸念が出てきます。

②「双子の赤字」の縮小
では、金利を抑制すればいいかというと、たしかにこの方向は株式相場などの投資活動に安心感を与え、活発化させることにもつながります。

さらには米以外との金利較差縮小により、資金が流出することでドル安となり、米企業の競争力も高まり、景気は向上し、経常赤字の解消にもつながるでしょう。

実際、米経済は経常赤字は2005年に過去最大の8049億ドルとなり、米国内総生産(GDP)の6.4%にもなっただけでなく、財政赤字も過去最大となっており、いわゆる「双子の赤字」がますます進んでおり、最近はスタグフレーション(インフレと景気後退の同時進行)の再来などということもよく聞くようになっているように、もはやこれを放置しておくことが難しい状況となっています。
したがって、その対策としては金利をあまり上げず、景気を活性化する必要があります。ところが、この方向に突き進むと、①で問題にしたインフレがますます進んでしまいます。

■方向感を失くしているアメリカ

こうして今、アメリカは一方では経済成長を維持しながら、もう一方ではインフレを抑えなければならないという厳しいジレンマに立たされているのです。
アメリカがどうしてこうなったのかといえばジョージ・ブッシュ以降の減税政策やイラク戦争などの出費によって進行した「双子の赤字」をこれまで放置してきたからでしょうが、これについてはここではあまり触れる必要もないでしょう。

今、ここでは、米当局の取るべき方向がきわめて難しいことを確認しておきたいと思います。

最近、バーナンキ新議長と市場との「対話」がうまくいっていないと報じられています。

「私の判断に落ち度があった」
インフレ重視を強調した自分のテレビ発言が国債急落を招いたとして議会公聴会で。
5/24東京新聞

「米株安 バーナンキ議長と市場の呼吸合わず」(2006年5月19日 読売新聞)

「FRB議長、不用意な発言で『私のミス』」(日経新聞2006/05/28)

「NY株、FRB議長発言で急落」(日本経済新聞 2006年6月5日)

「FRB議長 『市場との対話』苦慮」(2006年6月7日 読売新聞)


ここに見られるような不信感がたびたび報じられ、グリーンスパン前議長の名前まで出されるような状況になっていますが、これはバーナンキ氏個人の資質でもなく、FRBの問題でもなく、むしろ上で見てきたようにアメリカの抱える矛盾が先鋭化していることによるのではないかと思えます。

この「矛盾の先鋭化」にとって、05年4月のグリーンスパン時代から上げ続けてきたFF金利が今年5月11日についに5%までになってしまったことは象徴的な出来事ではなかったてしょうか。

というのは前回記事「世界同時株安とPERの関係」で書いたように、5%はPER20と同等だからで、今、世界株式市場は20倍あたりを上限としつつあるからです。

では今後、米金利と株式市場はどうなるのかこそが私たち投資家にとって一番の関心事ですが、それについては次回に書ければと思います。

【後記】
たぶん次回くらいで最終回を迎えることができるのではないかと思っています。
本当は私の中では続いているのですが、シリーズとしては一度、区切って、そうした株式状況の変化に応じた投資方法について書いていきたいと思っています。


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この下落相場は 売りなのか、買いなのか?

暴落相場の中で大きな損を出している人がいるかと思います。
あるいは、この下げは買いチャンスと見ている人もいるかと思います。

では、売りなのか、買いなのか?

これについて「 売りだ」、「買いだ」と私ごときがいってみたところで何の意味もないでしょうから、その代わりにこんな風にして大儲けをしたというウォーマックさんの話に耳を傾けてみませんか?


■ウォーマックさんの話

ジョン・トレイン(『マネー・マスターズ列伝―大投資家たちはこうして生まれた 』の著者)は次のように語り出す‥。


***************************

株で儲けるには、結局のところ自分で学ぶしかない。私はヒューストンのメルヴィド・ホーガンという読者から寄せられた、次の話が特に気に入っている。

 * * * *

私は第二次対戦後、株の売買を始めるが、年末には決まって損を出していた。
テクニカル、ファンダメンタル、両方の組み合わせなど、あるとあらゆる手法を試してみみたが、どれもうまくいかなかった。
1958年に株価が高騰し、みんなが大儲けした時でさえ損をした。
私はばたばたと売り買いしている間に結局、儲けをうしなったのだ。

1961年のある日、証券会社のオフィスにいた時、度重なる失敗にひどく落ち込んでいた私に、受付に座っていた顔見知りの担当者が声をかけた。

「株で損をしたことのない男がいるんだ。会ってみるかい?」
「損をしたことがない?」
「そうだ。俺は彼の口座を40年間担当してきたんだ」

彼はオーバーオールに身を包んだ、大きな男に合図をした。
そして、「話をしたいなら、急いだ方がいいぞ」と親切に言ってくれた。「彼は買うとき以外は、何年に一度しか来ないんだ。いつも何分かはここでうろうろして、テープを見ていく。ベイタウンの方で米作と養豚をやっている男だ」

こうして私は「一度も損をしたことのない男」からその秘訣を聞くことになる。

まずは、そのパフォーマンスから。

「意外なことに、彼は株のことを喜んで話してくれた。ポケットから、いま売ったばかりの株の、鉛筆書きのリストを出して、私にも見せてくれた。
 私は自分の目を疑った。彼は全体で50%以上の値上がり益を出していたのだ! 30種類の株のうち、一つは暴落していたが、他のは100%、200%、なかには500%上昇したものもあった。」

では、その男の投資手法とはどんなものだったのか?

「彼が説明してくれた手法は、きわめて単純なものだった。相場が低迷して安値を更新し、ダウは200ポイントは下がるだろうという観測が出るようになると、彼はスタンダード・アンド・プアーズの株式ガイドを読み、株価が10ドル以下に落ち込んでしまった銘柄を30ほど選び出すのだ。
名前は来たことがなくても、ちゃんと利益を出し、配当も払っている銘柄に限る(ナッツ生産業者や家具メーカーなど)。そして、ヒューストンにやって来ては、2万5千ドル分の『パッケージ』を購入するのだった。
 
そして何年か後、株価が再び活況を取り戻し、ダウが1500に到達するかという噂が流れ出すと、彼は再びヒューストンにやって来て、そのパッケージを全部売却する…」

「ウォーマックさんは、株を底値で買って、天井で売っていたわけではない。そういうことには無関心だった。彼は、買うときにはナンピン買いはやめておけという格言を一切無視した。例えば、1970年に相場が暴落した時には、すでに買っていたパッケージに加えてさらに2万5000ドルをつぎ込み、その後、大儲けした。」

買いをどのように判断するのか?

「買いの判断が正しかったかどうかは、さまざまな要因によって決まる。しかし、相場が低迷している時に底値に近いところで買っておけば、その後何度か誤った取引をしても、ある程度の儲けを出せるということがわかった。」

では 売りは?
「相場が上向いてくれば、 売り時が早すぎたとしても利益は出るし、天井でなら大儲けだ。再び下がり出してから売ったとしても、まだプラスだろう。これだけ儲けを出す可能性があるのだから、底値ゾーンを待つだけの意味はある。だから、相場低迷の時に買い注文を出して証券会社の人に驚かれても、安心していればいいのだ」

最後に「私」の感想で、この文章は締めくくられる。
「ウォーマックさんは、特別に複雑な手法を使っていたわけではない。彼はまた、株取引を頻繁にやっても儲からないということも教えてくれた。米をしょっちゅう栽培しても無駄なのと同じことだ。彼に出会ったお陰で、投資に対する私の姿勢は根本的に変わった。そして、それ以来ずっと利益を出している」と。
(出典『チャールズ・エリスが選ぶ 大投資家の名言』日本経済新聞社)


■ウォーマックさんの話を検証する

この話、皆さんはどう受け取ったでしょうか?

「そうかぁー、なるほど! じゃあ、今こそ買いだ!」
と思った人、いたでしょうか?

でも、その判断はちょっと危険だと思います。

まず、この話、面白いですよね? ぐいぐい引っ張られてしまううまさがあります。
その結果として示される投資方法の単純さ。
私たちはいろいろなところで、過程は複雑でも真理は意外に単純だということを経験として知っているので、この単純さはそういう意味では私たちの琴線に触れるようです。

さらには、ウォーマックさんの手法というのが、株式投資の初歩的でありながら、これ以外の真理はないと思えること、つまり「安く買って、高く売る」ことだというのだから、ここで私たちは、また内心で「そうだ、やっぱりね」とうなづいてしまうのだ。

といろいろいっていると寝る時間もなくなってしまうので、もう少し簡単に片付けましょう。

いきなり結論らしきことをいえば、私はこの話は嘘、虚構だと思っています。

これはジョン・トレインの考える投資方法を物語形式で語ったものだろうと思う。
実際、J・トレインがデイ・トレイダーなどに「君たち、短期はだめですよ。やっぱり株は長期じゃないと」といっても誰も耳を傾けてはくれないだろうが、こうして物語にすれば、聞いてくれるだろう。

この話の中でインチキを一つ指摘しておけば、「相場が低迷している時に底値に近いところで買っておけば‥」、あるいは「底値ゾーンを待つ」というところ。

底値に近いところというのは、後になって分かるものであって、今現在が底値なのか底値に近いところなのかというところなのかは分かるはずがないです。

では、ウォーマックさんの投資手法、つまり「押し目買い」が嘘であり、成り立たないのかどうかとなると、そうでもないという気もします。

下は約70年間の米ダウ平均のチャートです。
ダウ

これを見るとほぼ米株式市場は上昇トレンドだったということができるでしょう。
2000年のITバブル崩壊も、1987年のブラック・マンデーもこうしてみれば、それほど大きな傷になっていないことが確かめられます。

つまり、こうした上昇トレンドであるからこそ、ウォーマックさんのような押し目買いが成功するわけです。

では、日本でこれが通用するでしょうか?
下は日経平均の約50年間分のチャートです。
日経50

これを見ると、1990年までは確かに上昇トレンドでしたが、それ以降の26年間は未だに下落トレンドにあるのです。

公平を期すために、もう少し最近のものを見てみましょう。
下は約10年分の日経平均のチャートです。
日経10

90年のバブル崩壊後、続いていた下降トレンドは05年あたりで終わり、そこから上昇トレンドに転じますが、こうして巨視的に見れば、この上昇トレンドはまだ始まったばかりで、さきほど見たダウ・チャートと比較すれば、それほどしっかりした上昇トレンドとはいえないものであることが分かります。
このチャートの中で下げているところをどこでもいいから探してください。
そして、もし、そこで買っていたとしたらその買いは成功していたでしょうか?
下げているところはたくさんありますが、そこから必ずしも上げているとは限らないのです。

今は、株価が下げているから、即、買いに入る人も多いでしょう。
事実、先週あたりから外国人や信託などが買いに入っているようですが、ここでは押し目買いが使えるのは、あくまで上昇トレンドが継続している時であることを強調したいと思います。
そして今は75日移動平均線も割り込む下降トレンドにあることを。

ただ、これは順張りの場合で、逆張りの場合はこの限りではありません。
ただ逆張り派の人たちには、買い出動するに当たっては移動平均線乖離率や騰落レシオなどに一定の基準を持っているはずで、これをただ「下げているから」という理由で買えば失敗する可能性が大きくなることはいうまでもないでしょう。
自分は順張りか逆張りかなどの方針をきちんと定めた上でどうするかを慎重に決めた方がいいと思います。

■P.S
そうそう、この話の良いところについて書くのを忘れていました。

それはウォーマックさんが、ゆうゆうとした売買をしているところです。

数年に一度だけというのは、現代ではちょっとノンビリしすぎかもしれないですが、でも今のような暴落している時には、買いでも売りでもいいですが、あせらずその行方を確かめてからでもいいのではないかと思うのですが、そんな姿勢をウォーマックさんからス少しでも学ぶところがあればと思いました。


【後記】
今日は風邪をこじらせて仕事休んで寝てました。
10時間ほどずっと寝ていましたが、まだ眠る自信あります。

これくらいしか自慢することないので…。

世界同時株安状況がますます厳しく現われていますが、そうした中でシリーズを早く終わらせたいとは思っているのですが。
ただ、ちらほらと、個人投資家の間でも買い出動との意見が出ているので、今日の記事を先にしました。

では、また寝ます。


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世界同時株安とPERの関係

世界同時株安と各国市場のグローバル化について(5)

当ブログでは、日々市場で起こる出来事や飛び交うさまざまな情報といった目先のこと以上に、そこから一旦遠ざかり、世界的な視野の中での日本市場という点に重きを置いた視点の下に、今後の推移を考えていきたいと思っています。
それはいわば、一本の木を見るために、まずはそこから離れて森全体を見下ろす視点を獲得するためといっていいでしょう。


前回は日本市場に占める外国人売買代金の比重が高まっていることを見てきましたが、それは結局、日本市場が世界の動向に左右される度合いが大きくなっていることを示しています。
具体的には、それは①世界的動向、②世界が日本を見る目という二つの要素からなると思われます。

②については、ライブドアから始まって、最近の村上ファンドまでの「新種の攻撃的投資家」(The New York Times June 6.2006)、あるいは逮捕まではいかないまでも灰色のインサイダー企業群などを日本市場がどう自浄していくのかが問われているのだと思います。

②の問題は、同時に新興市場が東証1部より大きく下げていることに少なからず関わっているのではないかと思えます。(もちろん新興市場の下落は基本的には過去数年間の上昇率の大きさに見合ったものであるとは思いますが)
その意味では②の問題解消は急務のことと思われます。


そして今回は①についてもう少し考えてみたいと思っています。


■PER20と世界同時株安との関係

今回の世界同時株安がどのような環境の下で起きたのかを考えてみると、ここにPER=20という数字が浮かび上がってきます。
とうのは今回の同時株安の引き金を引いたといわれるインド株の平均PERがちょうど20倍を超えたところでしたが、調べてみると日本株もPERが約20を超えたあたり、米S&PのPERも20倍程度でした。

はたしてこれは偶然なのでしょうか?

私は偶然ではないと思います。

下のグラフを見てください。
世界のPER
(ドイツ証券提供)

これは世界各国PERの過去10年間分のチャートです。
これからいえることは欧米株のPERはほぼ足並みをそろえていたが、日本株だけが大きくそれらと異なる動きをしていたことが分かります。

そして、もっとも重要なことはその日本もまた03年くらいからほとんど欧米と一致しているということです。

私は上で「日本市場が世界の動向に左右される度合いが大きくなっている」と書きましたが、そのことがこのグラフにも如実に表れています。

そして各国のPERはほぼ20倍に収斂しているように見えます。
つまり、今回の同時株安に陥った諸国のPERに一致しているのです。

今、経済のグローバル化とか世界標準といった言葉がよく使わますが、株の世界ではもっともそのことが実現されているのかもしれません。

では、どうしてPER=20なのかということについては、このブログのどこかに簡単に書かれているので、そちらを参考にしていただくとして、今、ここではPERの逆数、つまり株式益回りは現在の株価で税引後利益を手に入れたとき、何%の利回りになるかを計算したもので、いわば株式を債券の利回りに直したようなものだということを知っておいてください。(註参照)

つまり株式益回り=1/20=0.05=5%

となります。

問題を単純化していえば、もし株式益回りの方が債券の利回りより高ければ、マネーは株の方に流れ、債券利回りの方が高ければ、債券の方に流れるでしょう。*

*‥実際には経済成長率なども加味して考えなければいけませんが、これを含めて論じると問題を複雑化しますので、こうした考え方[イールドスプレッド]については、最近、いろいろ思うところもあるので、また別の機会に書きたいと思っています。


そしてこのブログを読んでいる方は知っていると思いますが、経済と金融の世界標準である米10年国債の現在の利回りが今、ちょうど5%程度なのです。

今回の世界同時株安がちょうどPERが20倍あたりで起きたこと、あるいは米10年国債の利回りと同じ5%あたりで起きたということになります。

その理由は今はおいておくことにして、ともかくここでは、株式投資においては平均株価のPER=20が03年以降の世界水準になりつつあるということはとりあえず確認しておきたいと思います。
(誤解しないでもらいたいが、これはあくまで「平均株価」においてであり、個別銘柄の話ではありませんよ)

とすれば株式市場の今後の鍵は金利動向にヒントがあるのではないかと思われます。

ということで、以下にこれまで書いてきた世界ー日本市場の大まかなスケッチにまた少し色を重ねるような感じで、米金利に焦点を合わせてみたいと思います。

【註】
ここで、PERや株式益回りに初めて接する方に、以下に簡単な解説をしておきます。
知っている方は読む必要ありません。

1株当たり利益を株価で割って100を乗じたもの(%で表示)を株式益回りといいます。

株式益回り=1株当たり利益(EPS)/株価‥‥(1)

これは現在の株価でその税引後利益を手に入れると、何%の利回りになるかを計算したもので、

例えば今、株価が1000円の株のEPSが50だったとすると、株式益回りは50/1000=0.05、つまり5%ということになります。

また、ファンダメンタルでもっとも有名な指数、株価収益率(PER)は株価を1株当たり利益で割ったものなので、

株価収益率(PER)=株価/1株当たり利益(EPS)‥‥(2)

上の例でいうと、

PER=株価/EPS=1000/50=20

ということになります。

ところで、ここで(1)式と(2)を比べてみれば分かるように、ちょうど逆さまになってます。

ということで株式益回り=1/PERという関係があります。

つまり株式益回りはPERの逆数になります。

上の例でいうと、

株式益回り5%=PER20

ということです。

(続く)

【後記】
書いている自分が面白くなくては人様が面白いはずがないという信念の下に書いていますが、今日の原稿は何日も前からあったのですが、どうもつまらなくてアップをためらっていました。
そうしているうちに、欧米諸国と日本のPER推移のグラフを、村上氏ではないですが、「たまたま見てしまい」、興奮してしまいました。

このグラフでこの文章も少しは読めるようになりそうだと、やっと思うことができました。
このシリーズはほんとにしんどくて、自分でもどこまで行けるか分かっていません。
賭けのような日々です。


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今日の相場と村上氏の記者会見

今日、日経平均は少し下げ、ジャスダックは少し上昇。

昨日までブログはセリング・クライマックスを期待する声に満ち満ちていましたが、今日はおとなしくなっています。
上がりこそはしなかったものの、今日(5日)の日経平均は①新たな支持線が出てくるかもしれない、②抵抗線に再チャレンジしていることをもって、決して悪くない展開だと私は思っています。
もちろん、劇的な上昇は難しいという基調を前提にしてのことですが。


■村上氏の記者会見を見て

村上容疑者の記者会見見ました。
村上氏はメモも見ず、要領よく、何が問題で、それを自分がどう考え、そしてどう対処しようとしているかを極めて論理的に語っていました。

要約すると以下のようになるかと思います。

①ライブドアの宮内氏らが来て、「ニッポン放送、いっしょによりましょうよ」といわれた、この話の前から自分はすでに買い付けていた。
②この話があってもなくても自分はニッポン放送をやっていたが、これがインサイダーだといわれれば、これは解釈論になるけれど、自分にそのような意思はなかったけれど、見ようによおってはそう見えてしまうということを否定することはできない。
③村上ファンドに働く社員、ファンドの顧客、ファンドそのもののことを考えると自分はこれらの非を認めると同時に、法を犯した人間は証券業務に関わるべきでないという考えの下に、今後は一切、手を引くことを決断した。

この記者会見を聞きながら、私は村上氏はそれほど悪くないのではないか、むしろ運が悪かったのかもしれない、検察側の態度は厳しすぎるのではないかとまで思ってしまいました。

そこで、もう一度ニュースなどを読んでみました。
ここでの問題は①のライブドア側から話があったことを村上氏が強調しているところでしょう。

これについて検察側の容疑内容では、

「◇2004年9月15日、ライブドアの前社長・堀江貴文(33)、前取締役・宮内亮治(38)両被告と会い、「ニッポン放送はいいよ。あなた方も買って」と勧めた。
◇同年11月8日には、両被告らから「ニッポン放送はいいですね、ほしいですね。経営権取得できたらいいですね。僕らもいっぱいお金を準備します」との意向を伝えられた。
◇05年1月6日にも、重ねて「経営権がほしい」と言われたという。

となっています。

これを読むと、村上氏に一つの疑問が湧いてきます。
つまり記者会見で、ニッポン放送株買い付けについてライブドアのことは何度も説明しているのに、9月15日のことがほとんど語られていないのはなぜなのでしょうか。

事実は、まず初めに村上氏からライブドアにニッポン放送をやらないかと働きかけ、その後にライブドアがやる気になってきたということになります。

つまり04年11月や05年1月にライブドアが「ニッポン放送、やりましょう」というのを「たまたま聞いてしまった」ようにいっているけれど、実際にはライブドアの「やる気」は村上氏の戦略に乗せられた結果だとすれば、ライブドアこそがうまく使われただけということになります。

もう一つ、検察側と食い違う点は、村上氏が偶発的に違法行為にかかわったと主張していることに対して、検察側は高値で売り抜けるために計画的に実行したとみていることです。

これについては村上氏は記者会見の中で、ライブドアの動きとは独立して自分の売買があったと説明していますが、今後、検察がこの説明をどう論破するのかが、もう一つの焦点になるかと思います。


■村上ファンド崩壊と今後の株価

村上ファンドの資金の大きさが東京市場全体に占める割り合いが小さいことから、この事件の影響は限定的なものにとどまるだろうとのニュースも出ているし、先週金曜の株価が総じて下ヒゲをつけての反発を見せたところから、アク抜けしたとの情報がネットを吹き荒れていましたが、今日は少し静かになったようです。

この事件の影響は村上ファンドそのものにとどまるわけではなく、当ブログで何度もいっているように今や東京市場で個人投資家からの買いが膨らむ程度で修復できる問題ではないのだと思います。

経済学者のケインズは、株は「美人投票」に似ているといい、だから投資で大事なのは自分がどの女性を美人と思うかではなく、みんなはどの人を美人と思うかという他者の視点が大事だといっています。

そうだとすれば、私たち自身が東京市場をどう見るか以上に、外国人(他者)として、不祥事の続く東京市場をどう見るのかという視点を、投資家自身の中に持っていなければやっていけない時代に入っているのではないでしょうか。

【関連シュース】
米投資家、資金引き揚げも/企業統治の欠如が痛手に


【後記】
と今日は「たまたま」村上氏の記者会見をネットで見てしまったために、たぶんどこの新聞やブログでも書いているようことを書いてしまいました。
反省しています。

もしかすると、ふだんテレビを見ない私が「たまたま」こうして村上氏の記者会見を“見て”しまったのも、村上氏の戦略に乗せられてしまったからなのかもしれないような気がしています。


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東京市場は底をつけたのか?

コメント欄で@@@さんから、今日の相場で底をつけたのかどうか、どう考えるかという質問をいただきましたので、できる範囲で答えたいと思います。
どちらにせよ、私がこれからは下げだとか下げだとか予想してもそれほどの意味はないので、それぞれが判断するための材料を提供できればくらいの気持ちで書いてみます。


(1)中期~長期スパンで見ると

①まず、1ヶ月~1年以上くらいのスパンで見た時、何度もいっているように今後の相場はここ5年間ほど続けてきた「過剰流動性相場」、つまり世界的な金余り現象の「正常化」過程となると思っているので、今が底というより、これからもっと大きな下落過程が始まってもおかしくないのではと思っています。

②この間の下落で日経平均225の予想PERは19倍まで落ちてきたことで、割安になったと判断したファンドや個人投資家が買いに入っているようですが、そのため信用残高が膨らんでおり、日経平均銘柄の時価総額に対する比率は過去1年間で最大になっています。
新興市場はもっとひどい状況です。

こうした信用残は、今後は売り圧力になってくるわけですから、「今が底」と考えられる条件は見出すことはできないのでは。

この悪条件を克服して株価が上昇するためには大きな買いが入る必要がありますが、外国人は先日書いたとおりの状況とすれば、頼みの綱は個人だけ。

ところが、個人もこの信用残ではあまり期待できそうもないかなと。
さらに新興市場で傷ついた個人投資家の投売りは東証1部にも影響してくると考えれば、ここが「底」と考える材料はあまりないように思えます。

数週間以上を投資期間にしている人にとっては、少なくとも今は買う時期ではないと思います。

(2)短期スパンで見ると

ところで@@@さんが聞きたいのは、もっと短期、たとえば数日間程度の期間でのことと思いましたが、これについてはテクニカルで答えるしかないんですが、今、私が株状況について長々と書き続けていることは、今後、どこに行くかというと、まさしくこのあたりに行くのだろうと思っているのです。
今、それを簡潔にいえば、「今の相場はテクニカルでは分析できない」となるのではないかと。

ただ、これじゃ「猫の話」で怒って、またここでも、答えないのかよ~!って怒られそうなので、次のような前提が来週も継続されたらという仮定の下にお話します。

<前提:今日までのチャートで見る限り、5月上旬からの下落が続き、それが右肩下がりの抵抗線をつくりながら、もう一方では1550円あたりに支持線が形成されつつあり、この2本の線がつくっているトレンドが来週も維持されるとする>
日経0602


この前提に立った上で上でいえば、まず良いことからいえば、

①今日の罫線は長い下ヒゲをつけているが、これは先週水曜5月31日の下ヒゲと同じようにその後に上昇する可能性がある。
来週月曜、火曜の終値が16000円を超えれば、この下落トレンドは壊れるのでもっと期待が大きくなる。

②今日1日の日中チャートを見る限りでは15500円あたりが底となっているように見えますが、これは3ヶ月チャートで見ても、6ヶ月チャートで見ても、何度か下値になっているところなので、強力な支持線となる可能性がある。

③出来高がひさびさに膨らんでおり、底打ちのサインとなる可能性がある。(このへんの出来高の考え方については『世紀の相場師ジェシー・リバモア』[Richrd Smitten著]参照してください。)

前回の3月9日に並ぶほどの出来高。
ちなみにこの日は大陽線をつけて大きく上昇、この日より大きな上昇トレンドに入った。

逆に悪い方でいうと、

④これはテクニカルでいえば、もっとも重要なことだが、3ヶ月チャートを見ても、下降トレンドが維持されている。
昨日は上昇したが、その終値は抵抗線を抜くことなく、ちょうどそこで止まっている。それは抵抗線の強さを示している。

支持線と抵抗線は下降三角フラッグをつくっており、しだいに上下の幅が狭めているが、このケースはさらなる下落になる可能性が大きい。

⑤オシレータなどが好きな人なら、こんな時はRSIやストキャスティックなどに頼るのでしょうが、これらの指標は下落から上昇に転じて初めて底をついたと判断するように作られています。
つまり下落している最中に「今が底だ」というのは無理だと思っています。
こうした指標をいくら多く使って見ても、底を当てる時もあり、外れる時もあります。



あ、もう一つの質問がありました。
「今日のターンの主な買い手は?」って、今は買うべきでないと考えている私に聞くより、買った人に聞いてもらいたいと(笑

ここで今日、一度は下げていた日経平均が10時半頃から変転し始めたのは以下のような事情からのようです。

「後場に入ると村上ファンドに対する捜査が進展したとしても村上ファンドが投資を行っている銘柄はたかだが20銘柄位で、相場全体に影響を与える可能性は少ないとする冷静な見方が支配的になってきたことや、このところの新興株安の影響を受けて連日の年初来最安値を更新してきたソフトバンクに押し目買いが入ってきたことなどから指数も上昇。」(テクノバーン) 6月2日

「日経平均採用銘柄のソフトバンクの株価が順調に上昇したことなども受けて日経平均株価は大引け前にかけて一段高となる展開となった。」(同上)

このニュースでは、私は村上説をとりますが、ソフトバンク説はどうかなと思います。
というのは、今日の日経平均がつけた下ヒゲですが、出来高上位3位の三菱自動車、ソフトバンク、みずほ信託銀行のすべてがそうです。

もし、ソフトバンクだけの事情で上昇しただけなら業種のまったく違う自動車や銀行までが同じチャートになるはずがありません。

「三菱自動車」
三菱自動車


「みずほ信託」
みずほ


同じチャートになったということは、東京市場のほとんどの銘柄に共通の事情のために株価が動いたということなので、それは村上ファンドの不安解消ではなかっただろうかと思っています。

下ヒゲというのはテクニカルでは上昇サインの一つですが、上のように見てみると村上ファンドからの不安材料がとりあえず消えたということはマイナス要因がなくなったというだけのことで、プラス要因ではないです。

しかも、少し前のこのブログでUSEN、インデックスについたように、この村上ファンドの問題はまたしても外国人に東京市場の不透明さと未成熟さを印象づけたでしょうから、まだ 売りが出てくる可能性はあっても、膿は出し切ったと考える市場関係者がいるとすれば、世間知らず、というより「世界」知らずという感じがします。


以上、月曜以降、どうなるのかについての大まかな判断材料を提供したと思います。
つまりおおざっぱにいえば、大状況的には、この下落相場はまだ続く可能性がある。
けれどもテクニカル的には、反転する可能性もある。が、上昇要因は今のところまだないと考えていいのでは。

ここから先はご自分で判断してください。
相場の見通しのことは私なんかより詳しい人、いっぱいいますから、これからはそちらに人に聞いてくださいね。

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ちょいモテ男(猫)になった猫の話

仕事を終えての帰り道、小道の脇の草群に首を突っ込み、興奮でハフハフしているる犬を見かけた。

飼い主らしき中年の女性は犬の興奮が冷めるのを待つしかないという風情で手持ち無沙汰そうに立ち尽くしているのを見て、子どもの頃、猫を飼っていたことを思い出した。


野良猫に餌をやっているうちに住みついたようで、すぐにいなくなってしまった猫もいたり、中には気がつくと数件先の家の縁側に、いかにも、この家の飼い猫で~すというように澄ました顔をしているのを見たりしていたので、どちらかというと和食中心の我が家のヘルシーな食事は猫たちの好みに合わなかったようだ。

それでもダイエット志向の猫もいたようで、そんな一匹が我が家に住みついた。

子猫だったからという理由でその名をチビと名付けた、そのあまりに安易で脱力的な命名からも想像できるように、我が家はおよそペット愛好家とはいいがたい家族だった。

夏目漱石家の猫に名がないとしても明治時代のことだから許されるだろうが、等しく人権の与えられているこの現代ならば、猫の中には、もう少しセンスの感じられる名前をつけるべきだと主張する猫が現れてもおかしくないだろう。

それでもこの猫、チビは名前のことも食べ物のことにも何も不平不満を漏らさず、と書こうとして、いや、彼(オス猫でした)にもやはり不平はあったようで、時々、呼んでもシカトするとか、食事を出しても鼻もひっかけないという反抗的な態度を取ったのは無言のデモンストレーションだったのか、それとも思春期特有の反抗期だったのか、今では知る由もないけれど。

ともかくもそんな風にわが家に居着いたチビもそれなりに家族にも馴れれ、家族の者もこの猫に馴れていったと思っていた。

馴れると、そこにはもはや言葉の壁も、人種ではないから、動物種というべきなのか、そんな壁もなくなったのはいいこととして、それは同時に、家族の一員として親密さと同時に兄弟喧嘩の絶えないいささか野蛮な日常性の中に放り込まれることをも意味したから、ペットなどという甘えの許されぬわが家においては、野良猫にとっては野山以上のサバイバルな場所だったかもしれない。

一般的に、飼い猫は飼い主やその家族に時々、スリスリしたり、猫撫で声を出したりして媚を売るという労働の対価として餌を得るというのはどんな経済学の本にも書かれている初歩的なこと(嘘かもしれない)だろうが、ただ、どのような媚びがどの程度の対価として返ってくるのかということについては経済学者とキャバクラ嬢との間で論争が繰り返されており、この難題は経済界の「フェルマーの定理」とも呼ばれているようだ(嘘かもしれない)が、ただ対価(つまり料金のこと)は媚び(の質と量の総体)と等価交換の関係にあるという点に関しては両者は意見の一致を見ているようだ。

ただ、これには一般市民(と名乗る男たち)から、やれ「ボラれた」とか「ボッタクリだ」と等価交換を否定するような発言が相次いでいるところからも、法務省も問題を放置しておくわけにもいかず、実地検査のため、幹部自らが連日、キャバクラやクラブに繰り出しているというから、いくら職務とはいえ、楽しくもない酒や女と戯れなければならないのだから、ホントに頭が下がる思いがする。

この話にはまだ続きがあって、この話を聞いた厚生度労働省では、労働問題である以上はこれはウチの管轄だと主張し、こちらの省でも連日、キャバクラへ繰り出したところ、これは公正な取引が行われているかどうかの問題である以上、これは公正取引委員会の問題に決まっているではないかと某委員以下、相当腹が立ったようで、その怒りをキャバクラにぶつけようではないかとこちらも連日繰り出せば、キャバクラとはどこにあるのか? 何、陸地にある? とすればこれは陸上自衛隊の管轄に決まっておるではないか、もし武力もない他の省庁に遅れを取るようなことがあれば陸上自衛隊のふがいなさを全世界に証拠づけてしまうことになるから絶対に一番乗りせにゃならんと某隊長からの命令が出され、例のキャバクラXには朝霞及び習志野駐屯基地から戦車、装甲車数十台が出動したものだから、大変な騒ぎになったのは記憶に新しいところ(というか今、知ったような)だが、こうした各省庁間が争っていたのでは示しもつかないし、何といってもこれは男女がらみの問題だとして男女共同参画会議を所掌する内閣府及び小泉内閣総理大臣が最後に登場しようとしたところ、最後に出てきて一番良い席を取ろうとするのは問題ではないかという諸省庁からの批判に、「いや、私は一政治家として、一国民の一人として女性に対する敬意の気持ちを持ってお店に入ろうとしているだけだ」と反論したところ、「首相の特権乱用では」とか、「相手省庁の気持ちも考え慎重に行動すべきだ」とか、果ては「では、このキャバクラを二つに分けてしまったらどうか」といった意見も出されたが、「いや、これは心の問題、私の信念だ」と一切取り合わなかったとか何とか…。

いや、話が少し見えなくなってきたようだ。話を元に戻そうではないか、諸君!

つまり、まあ、こんな話はどうでもいいのだが、要するに人間世界では常識となっている等価交換がわが家の猫にはまったく適用されなかったために、たかだか猫まんま一杯といった貧しい成果を得るために、このチビ猫は多大な努力を払うことになったのだったが、しかしそのために媚を売ることにかけてはそんじょそこらのキャバ嬢、彼はオスだったので、ホストというべきか、ともかく区袋あたりのホストなど足下にも及ばないような媚を売り方を極めたので、界隈では知らぬものさえいないちょいモテ(猫)男になったのだったが…。
(続く。か続かないか、私の気持ちは猫の目のように変わるので…)

【後記】
昨日の株の話の続きはどうなったのだ!?という怒りの声が聞こえてくるような。
そして、どうしていきなり猫の話なのかといわれても、今日の夜、仕事の帰り道で見かけた光景がなぜか消えなくて…
それを少し書き止めていたら、どんどん逸れていってしまって…。
なんでだろう。。

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■外国人売買代金の変化から見えてくるもの

世界同時株安と各国市場のグローバル化について(4)

■外国人売買代金はどう変化しているのか?

昨日は日本市場に占める「外国人」の売買代金の比率が大きくなっていることを書きましたが、今日はその絶対額がどう変化しているのかを見てみます。
ここ1ヶ月の日本市場における「外国人」の売買動向は以下のようになっています。

外国人動向  売り     買い 
4月第4週 56769  54679 
5月第1週 15442  16412 
5月第2週 62392  61561
5月第3週 66795  63198 

ここから何かが見えてきたでしょうか?

この表には売買の差引計ではなく、売りと買いの数字が出ているので、その割合が見てとれるところはいいのですが、期間が短かすぎるという欠点があります。

ということで別のデータを探してみますと、適当なのがありました。
特徴を見つけやすくするために無駄なデータを削り、グラフにしてみます。
また、それに日経平均をつけ加えた方がもっと見えてくるものがあるかもしれないので、それも加えてみます。それが下のものです。
(青線:売買代金、ピンク線:日経平均)
外国人売買代金

ただこれだけだと売買代金は月ごとの変化が大きすぎて、大きな動きが逆に見えにくいので、4週移動平均線を引いてみました。それが黒太線です。

するといろいろなことがここから見えてきます。

黒太線を見てください。外国人は日本株が上昇の勢いにある05年前半をトレンドに乗せて買っていましたが、面白いことに8月をピークに買いを減らしていきます。
彼らにとっては9月以降のあの怒涛の上昇は理論値を越えた理不尽なものと映ったのでしょう。
彼らはその後、ライブドア・ショックの頃までずっと買いを減らしていきますが、今年2月に日経平均が底を打ったことを確認してから、再び、しかし今度は急速に買いに入ります。3月第2週から4月第1週までの急速な売買代金の増大に注目したいと思います。

そして今度は(青線を見てください)日経平均が4月第1週でピークをつけたその時、外国人の買いもまたピークをつけますが、驚くべきなのはその翌週には彼らは大きく一転して、この一年間で最大の売りを演じていることです。
そして5月第3週まで、各週ごとのプラスマイナスはあるものの、移動平均線が物語っているように全体的には買いは大きく減少し、4月後半からは 売りの方が勝っているようです。

私自身も今、このグラフを始めて目にするので、(たぶんこのグラフは今まで誰も見たことはないと思うけれど)きちんとした分析ができるわけではないですが、とりあえずグラフから見えてくるいくつかことを以下にまとめてみます。

①05年の「外国人」は極めてオードドックスな投資方法をとっていると推測できる。
業績分析に加え、おそらくはPER,PBRなどの指数も使って「割安・割高」を売買判断していたと思われる。

②「外国人」の徹底したリスク管理には学ぶところが大きい。
具体的には05年1月後半の株価のピークの直後、また一度は底をつけて反転したと思われた3月第1週に株価が下げたときも、すばやく大きく売り越していること。
そして上でも述べた4月第1週のピークの直後に見事としかいいようなない売りを見せていること。

③05年の「外国人」と今年に入ってからの「外国人」とは質が違っているように見えること。
その理由は、昨年と今年以降とのボラティリティの大きさの差がまず挙げられる。

05年においても週ごとに売りと買いが頻繁に交互する傾向が見られるが、その幅はほぼ4000億円程度に収まっていた。
しかし今年1月以降は6000億、時には1兆円の幅にまで拡大されている。

これは投資資金がより短期で運営されてきていることを示しているように思える。
長期の機関投資家やヘッジファンドから短期のものへとシフトが起きているのかもしれない。
資金のすばやい動きについては3月後半からの移動平均線がつくる急角度によっても示されている。

④これがもっとも大事なことだが、4月第1週から「外国人」の日本市場に対するスタンスは明らかに大きく変化したこと。

移動平均線は4月第1週からマイナスのトレンドに転じ、売買代金の4週平均は5月以降、マイナス域に入っている。
そして4月以降、売買代金の4000億円の 売り越しがすでに2度あったが、こうした大きな売り越しは過去1年間で1度しかなかったものである。

以上、外国人の売買代金の変化から見えてきたもの、これが昨日、ここで書いた日本市場の「変調」をよく表しているかと思う。
(続く)


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