プロフィール

株鳥風月

Author:株鳥風月
2003年より株式投資を始める。
詳しくは「はじめに」をご覧ください。

趣味:映画、音楽、読書など


最近の記事


最近のコメント


最近のトラックバック


カテゴリー


月別アーカイブ


カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

全記事(数)表示

全タイトルを表示

ブロとも申請フォーム


スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映画『カポーティ』を観る

カポーティは、映画として有名になった『ティファニーで朝食を』などを書いたアメリカの小説家。

1959年11月にカンザス州ホルコムで起きたペリーとディックという2人の若者による裕福な農場主クラターの一家4人の強盗殺人事件に材を取って、彼は犯人の一人、ペリーに肉薄し、“ノンフィクション・ノベル”『冷血』を書く。

ノンフィクション・ノベルとはカポーティによれば「フィクションの技術を駆使した物語風の構成でありながら中身は完全に事実という形式」ということらしいが、ともあれ小説の作者が題材の人物にあまりに接近しすぎることは書き手たる作者=主観と書かれるべき対象である人物との主客が位置が混乱し、転倒することにもなりかねない。
そして、それは作家の「死」を意味するかもしれない。
事実、カポーティはこの小説以降、小説が書けなくなるのだが…。(最後の一冊は未完で終わった。)


「この本(『冷血』)によって私は変わった。そして読者もこの本を読むことで変わるだろう」とカポーティはいう。
映画はこの小説に取り組むあたりのカポーティを描く。



文学とは恐ろしいものだ。

カポーティは犯人の一人に何か感じるものがあって、彼の取材を始める。
本を上梓するまでに5年を要した“つき合い”の中で、もっとも親しい友人に変わらない友情のようなものができてくる。

彼は優秀な弁護士をつけたりなどして減刑にも取組む。

しかし、一方で、被告が刑死するにしても、無罪釈放されるにしても(もちろん、こちらの可能性はほとんどなかったが)その結末が決まらなければ小説は完成しないと考えていた。

被告とのつき合いはカポーティの神経をすり減らす。
同じ感情を共有することが友情というのならカポーティもまた死の恐怖、つまりこの世から消滅してしまう(それが相手か自分かという違いはあるにしても)という恐怖にとらわれていたに違いない。

被告が控訴し、刑の執行が延期されるたびに、カポーティは「これは拷問だ」と嘆く。まるで早く死刑執行を待ち望んでいる人のように。

生きていて欲しいと願うと同時に死を願うという矛盾に引き裂かれた小説家。

改めて思う。小説とは恐ろしいものだと。
でも、いったいどうしてなのか?

カポーティが事件の取材を始めてすぐの頃、殺害された4人の被害者の納められた棺を開けて覗いてしまうシーンがある。
後に彼は恐ろしい経験だったと告白する。

恐ろしいものから遠ざかろうとしながら、もう一方でその恐ろしいものから目を逸らすことができない。
「文学」の恐ろしさはこのあたりにあるのかもしれない。


カポーティはホモセクシャルだったようだ。
この映画でアカデミー賞主演男優賞を獲ったフィリップ・シーモア・ホフマンは、いかにもそれらしく演じている。もちろん私は実際のカポーティを知っているわけではないけれど、実際のところ、たぶんこんなしぐさや話し方をしていたのではないかと思ってしまうほどだ。

映画が始まってまもなく、虚弱体質なのかどうか、弱々しい声で、なよなよした話し方をするこの主人公にとても親近感を覚えそうもなかった。
それが観ているうちに、これはすごいと思うようになってきた。
彼が犯人の男に自分の生い立ちを話し、自分もお前の同類なのだと話し、彼の中にある何かを伝えようとするときの、その弱々しそうな声の中にこそ真実を伝え得る“力”というものを確かに感じることができた。つまり外見の声や態度とは違った、ある種の魅力、あるいは魔力がカポーティにはあったのかもしれない。

彼と仲の良かった映画俳優、ハンフリー・ボガードの妻だったローレン・バコールはカポーティのことについてこう語っている。

「トルーマンのことは彼から聞いていたわ。『やつに会ったら、最初はとても実在の人間とは思えない。しばらくいっしょにいてやつのことが少しわかったら、今度はポケットに入れて家につれて帰りたくなる』と。

公式サイト

↓ランキングに参加しています。クリックよろしく。
人気blogランキングへ
にほんブログ村 株ブログ




スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://tousinokokoro.blog47.fc2.com/tb.php/121-ffe5adf4

 | BLOG TOP | 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。