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株鳥風月

Author:株鳥風月
2003年より株式投資を始める。
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PERなどの指標を考える(最終回)

■子が子なら母親も…EV/EBITDA倍率

そう、つまりPERをある家庭に喩えれば、この家では子も問題なら母親も問題あり。父親なんているんだかいないんだか分からないくらい存在感が薄くて、家族にその存在を思い出させることといったら、年に1か2度のちゃぶ台返しくらいといった、まさに家庭崩壊状態なんですが、世の中には奇特な人がいて、さきほどのことでいえば、「子が悪いというなら、その子の長所(現預金)と欠点(有利子負債)もきちんと見つめることで問題を解決しましょう」といってくれるコンサルタントがいるんですね。

このコンサルタントにまたお願いしましょう。

で、今度の問題は、母、いや分母です。

「かっ、子が子なら母親もだ!」

って、お父さん、あんたの子と妻でしょうが!

っていうか、あんた、分数の中に自分がないからって、何度も出番増やそうとしないでね。


で、問題に戻ると、分母である当期純利益に問題がありそうです。

企業の売上から売上原価、販売費、一般管理費を差し引いたものが営業利益。
これに営業外損益を加減して算出される利益が経常利益。
そしてこれに特別損益並びに税を加味することによって得られたものが当期純利益。
これは『会社四季報』を読むためにも最低限、知っておきたい業績分析の基本ですね。

当期純利益は最終的な利益であるわけですが、売上から始まって、ここまで来る間にいろいろな数値を加えることによって、企業本来の力を示すもの、つまり売上によって得た利益が見えにくくなってしまっています。

日本では経常利益が業績の中心的な位置を占めているので、「営業外損益」を利用した数字操作が行われているようです。

例えば売上が伸びず、したがって経常利益も当然、前年より落ちている場合、このままでいれば当期純利益も減り、EPSも小さくなるので、株価は下がり、時価総額は小さくなってしまうでしょう。

そのため、土地や建物を売却するなどして経常利益を膨らませるというようなことをしていました。

こうして得られた数字は企業本来の力量を示すものではないにも関わらず、経常利益や当期純利益はよく見えてしまいます。

この問題点をクリアするには当期純利益に変わるものが欲しいところです。
となると売上か営業利益のいずれかになりますが、売上から売上にかかる諸経費を差し引いた営業利益の方が企業の力を表すのにふさわしい数字でしょう。

それに営業利益には、それ自身の数値に加えて営業利益率というものがあります。

これは営業利益の売上に対する比率を指しますが、企業の収益性を表す指数となっています。

つまり営業利益は純利益より売上に近い数字なので会社本来の力を示していると同時に、その中に企業の収益性も含まれているので、指標にはとてもすぐれた数字です。

もう一つの問題があります。
それは減価償却をどうするかという問題。
建物や機械を購入した場合、耐用年数に応じて毎年、減価償却していくわけですが、これをカウントするために分母にこれも加えてみます。
これは純利益を営業利益に代えたことによって、減価償却が消えてしまったことを、この操作で復活させるという意味合いになっていると考えていいでしょう。
以上の操作によって分母は

営業利益+減価償却費

となり、分数全体は

(時価総額+有利子負債ー現預金)÷(営業利益+減価償却費)

となります。
これを

EV/EBITDA倍率といます。

EV/EBITDA倍率=(時価総額+有利子負債ー現預金)÷(営業利益+減価償却費)

もう何だか面倒くさくなってきました?

たしかにPERと比べると、ちょっと面倒くさい感じの指標ですが、実際のところ、どのくらい役に立つのかが問題ですね。

これについてはこの本の中に『ファンドマネージャーの株式運用戦略』(*1)という本からデータが引用されていますので、それを見てみます。

1986年6月末を100とすると1998年末には累積リターンは次のような数字になったとのことです。

1位  3ヶ月リターン・リバーサル…756(*2)
2位  低EV/EBITDA倍率…561
3位  低PBR…556
4位  低位株…426
5位  低PER…377
6位  高ROE…138

これを見ても、EV/EBITDA倍率の指標とてしての素晴らしさが分かると思います。


■最後におまけ「真のPER」簡易使い方

以上、PER、「真のPER」、EV/EBITDA倍率と見てきましたが(この本にはその他にもいくつかの指標を紹介しています)、それはこの3つを比較することで企業価値を数値的に計る指標というものが、どう変わってきたのかを通時的に見たかったためでした。

ライブドア事件以降、企業価値をめぐる論議が活発になっています。
象徴的だったのは、これまで「企業価値とは株式時価総額と負債時価総額の合計」との定義をしていたSBIホールディングスの北尾最高経営責任者は、ライドドア事件を省みて「私のいってきたことは間違いだった」と発言し、企業価値とは「顧客、株主、人材(従業員)それぞれに対する価値の総和」と再定義したことでした。

ここまで抽象的になって来ると投資家にはちょっとついていけない感じがあるし、今後、企業価値とは何かという論議がどういう方向へ向うのかについて多少、不安を覚えなくもありませんが、少なくともそうした論議を飲み込んで企業価値を最終的に決定していくのもまた市場なのではないかと思う今日この頃ですが、4回に渡って書いてきた「PERなど論」は少しは面白かったでしょうか?

さすがに今日でこの話を終わりますが、最後に「真のPER」の簡単な計算法を考えたので参考にしてもらえればと思います。


「真のPER」=(時価総額+有利子負債ー現預金)÷当期純利益

を次のように変形します。

「真のPER」=時価総額/当期純利益+有利子負債/当期純利益ー現預金/当期純利益

第1項の時価総額/当期純利益はただのPERのことですね。
そして有利子負債を当期純利益のa倍、現預金を当期純利益のb倍とすると、

「真のPER」=PER+(a-b) …①

となります。

今まで『四季報』などで有利子負債を見るとき、それが当期純利益の何倍かなどと見ていませんでしたか?
10倍以上は問題だとか、5倍ならまあいいかとか。

そのアバウトな感じで有利子負債と現預金を当期純利益の何倍と大まかな計算をして、それを上のように加えれば一発で「真のPER]が算出できます。

一例として三井住建道路(1776)を以下に見てみます。

株価 175円
予想EPS 19.4円
予想PER 9.02

なので、これだけ見れば低PERで、お買い得!と見ることもできそうですが、もう少し数字を見てみます。


予想当期純利益 360(百万円)
有利子負債  7297(百万円)
現預金  -932 (百万円)

だいたいのところ、有利子負債は純利益の20倍、現預金はマイナス3倍くらいとして、上の①式のようにPERにこれを加味すると、

真のPER=9。02+{20-(-3)}=32.02

とPERに比較してかなり高くなってしまいました。これはもちろん借金が多く、現金が少ない(というかマイナス!)のせいです。
こうしてただのPERより会社の実態を数値の中に反映できたということです。


長くなりましたが、これでPERをめぐるお話を終わります。
(途中、話が長くなってきたので話をはしょってすみませんでした)




(*1)『ファンドマネージャーの株式運用戦略』
いろいろなファンドマネージャーの方が本を出していますが、個人投資家にはあまり面白く役立つものが少ないように思いますが、この本は個人投資家が読んでも面白いし、実際のトレードに役立ちそうな記事が満載の本でした。一読の価値ありと思います。

(*2)リターン・リバーサル
株価は悪い材料が出れば過剰に売られ、好材料が出れば過剰に買われるという性質を持っています。
つまり下げるときは下げ、上げるとこはどこまでも上げるということ。
この性質を利用して売買する方法をリターン・リバーサルといいます。
いわば逆張りの一種ですね。



【後記】
ああ、やっと終わりました。
4回は長かった。

長くなればなるほど泥沼から足が抜けなくなる感覚のような…。
このブログを読んでくれている人たちもさすがにいやになったようで、昨日なんか訪問者数がいつもの半分にまで落ちてしまいました。

明日から何を書こうか考えています。
市況に戻るか、それともまた何か特集的なものをやるか…。

自分では特集的なものが好きなんですけどね。
例えば尊敬する投資家特集とか、デイ・トレーダー特集とか。でも書き始めるときっとまた長くなりそうで…。

では、また!

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